私の顧問先で、代表者が最重要顧客から「代表者のご友人の会社に 1 億円を貸してほしい」という依頼を受ける出来事がありました。貸付金は 5,000 万円ずつ 2 回に分け、金銭消費貸借契約書を作成し、弁護士にも内容を確認していただいたうえで、利息を付けて返済する前提で実行されました。
顧問先にとってこの顧客は売上の大半を占める非常に重要な顧客であったため、代表者としても断りづらかったようです。しかし私は当初から大きな不安を感じており、案の定、返済が徐々に滞るようになりました。
その後は、私の方で内容証明郵便の準備をしたり、弁護士対応に移行するための段取りを取ったりと、通常業務と並行してトラブル対応に追われる状況となりました。最終的には相手先の銀行口座を仮差押えすることで、わずかではありますが一部の回収には成功しました。
この事例から学べること
1. 重要顧客であっても「会社のお金」は絶対に安易に貸してはいけない
売上規模が大きい顧客であっても、会社の資金は全く別の問題です。「断りにくい」という感情で判断してしまうと、大きなリスクを招きます。
2. 重要案件を正しく判断できる体制づくりが不可欠
貸付のような重大な意思決定は、社長の独断ではなく、社内での承認フロー・専門家への事前相談など、適切なガバナンスが必要です。
3. 代表者が“聞く耳を持つかどうか”で会社の安全性が決まる
今回のように、アドバイスを柔軟に受け止められないと、会社全体が大きなトラブルに巻き込まれます。本件はまさに、その危険性を示す典型例だと思います。
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